「ビジネス日本語とはどんな日本語?」「BJTビジネス日本語能力テストってどのようなテストなの?」このような疑問をお持ちではありませんか? ビジネス日本語とは、ビジネスの場面でコミュニケーションを取るために必要とされる日本語のことです。一般日本語よりさらに広い範囲の知識や語彙力が必要なので、一般日本語ができるからといってビジネス日本語の能力が高いとは限りません。 記事では、ビジネス日本語の具体例、日本と海外のビジネス習慣の違い、ビジネス日本語能力を評価する「BJTビジネス日本語能力テスト」についてお伝えします。ぜひ最後まで読み進めてくださいね。 ビジネス日本語とは ビジネス日本語とは、日本企業のビジネスシーンで必要とされる日本語のコミュニケーションのことです。 日本企業で外国人が働く場合は「一般日本語(General Japanese)」や高等教育機関に進学するための「アカデミックジャパニーズ(Academic Japanese)」とは異なり、日本のビジネスシーンを想定した「ビジネス日本語」を習得する必要があります。 実用的なビジネス日本語を習得するためには、日本の商習慣を理解して、社員や上司、取引先に対して失礼のない日本語のコミュニケーションが取れるようになることが大切です。 意味としては成立していても「その言い方はないのでは?」という言い回しをすると、知らない間に信用を失ったり仕事上、不利益を被ることがあるため注意しなければなりません。 近年、日本のアニメが海外で人気であり、「アニメを通じて日本語を覚えた」という外国人の声を聞くことがあります。 しかし、アニメの日本語はカジュアルな日本語であることも多く、そのまま日本のビジネスシーンで使用するのはそぐわない場合がほとんどです。 一般日本語とビジネス日本語は異なるものであるということを念頭におきましょう。 ビジネス日本語の例 ビジネス日本語とは具体的にどのような日本語なのでしょうか。ここでは、ビジネス日本語の具体的なフレーズをご紹介します。 お世話になっております 「お世話になっております」は、すでにお世話になっている人に対して使うビジネス日本語です。「間を取り持っていただいてありがとうございます。」という意味があります。 具体的な例文をみてみましょう。 【例文】「お世話になっております。株式会社〇〇のAです。」「いつも大変お世話になっております。株式会社〇〇のAと申しますが、B部長はいらっしゃいますでしょうか?」 「お世話になっております」は、例文のように会話やEメールなどの初めに使うことが多いビジネス日本語です。 お疲れ様です 「お疲れ様です」は、社内の先輩や上司に対して使うことが多いビジネス日本語です。相手を労う挨拶として頻繁にビジネスシーンで使われています。 具体的な例文をみてみましょう。 【例文】「お疲れ様です。お先に失礼します。」「本日の会議、お疲れ様でした。」 例文のように、「お疲れ様です」は、ビジネスシーンの声かけ、挨拶のような意味合いも含め、労いの言葉として使用されることが多いビジネス日本語です。 申し訳ありません 「申し訳ございません」は、目上の相手や取引先に対して使うビジネス日本語です。謝罪するときや済まない気持ちを表す時に使います。 具体的な使用例は以下の通りです。 【例文】「今日は時間に遅れてしまい、申し訳ありませんでした。」「突然のお願いで申し訳ありませんが、何卒よろしくお願いいたします。」 謝罪の意味で使用するほか、例文のように相手に手間をとらせてしまうお願いのクッションの役割で「申し訳ございません」を使用することが多々あります。 幸いです 「幸いです」は、一般的に目上の人以外に使えるビジネス日本語とされています。「〜であれば嬉しいです。」「〜なら助かります。」という意味で使用します。 具体例をみてみましょう。 【例文】「明日までに提出していただけると幸いです。」「本日の会合にご出席いただけると幸いです。」」 例文のように、「幸いです」は柔らかくお願いする言い回しで、丁寧にお願いするビジネス日本語です。一方で、「してもしなくてもいい」と捉えられてしまう場合もあるので、注意しましょう。 何卒 「何卒」は、あいさつや謝罪を強調する場合に用いるビジネス日本語です。主に手紙やメールで使われる表現で、ビジネスシーンでは多用されます。 例文をみてみましょう。 【例文】「何卒よろしくお願いいたします。」「何卒ご了承ください。」 例文のように、「何卒」は、「お願いします」や「ご了承ください」の前につけて使うことで、より丁寧に強調して伝えることができる言葉です。 ビジネス日本語以外の海外との商習慣のギャップ 外国人が日本企業で働く際に問題になるのは、言語のことだけではありません。外国人と日本人では、ビジネス習慣に違いがあります。具体的には、ビジネスシーンにおける対応、仕事の進め方、同僚との関係、そのほかそもそもの文化の違いなどがあげられます。 下のグラフは、外国人と働いたことがある日本人を対象に、外国人と働く際に困ったことを調査した際の調査結果です。 【外国人と働く際に困ったこと】 ※ 参照元:エン・ジャパン グラフを見てわかるように、仕事に対する価値観の違いや姿勢・対応の違いが多く並んでいますが、背景には日本のビジネスシーンでみられる暗黙の文化を、外国人が理解できないことが原因として考えられます。 そこでここからは、外国人スタッフが日本の商習慣を理解して、社員や上司、取引先に対して失礼のない日本語のコミュニケーションが取れるように、海外と異なる日本独自の商習慣についてご紹介します。 日本企業では仕事仲間と飲むことが多い 日本企業では海外と比較し、仕事終わりにそのまま仕事仲間と飲みにいくことがよくあります。オフィスとは違い、飲みの場だからこそお互いの距離が縮まる…という考え方から、仕事で成果を出すためには飲みに付き合うことが大切だという考え方が強い職場がたくさんあるのが現実です。 しかし、このような文化は海外では一般的ではありません。それゆえ外国人が淡白に飲み会参加を断ると、上司や同僚と気付かぬうちに壁ができてしまうことがあり、注意が必要です。 名刺交換に独自のルールがある 日本と外国では、名刺の位置付けが大きく異なります。日本では、社外の仕事相手と初対面の時、あいさつ同然の行為として当たり前のように名刺を交換する習慣があります。 しかし海外では初対面で当たり前のように名刺交換をする習慣はありません。名刺交換は相手の連絡先が知りたい時など「必要な場合に行う行為」と位置付けている国が多いです。 そのため日本人が当たり前のようにしている「鞄から出しやすい場所や上着の胸ポケットに名刺入れを入れておく」や「相手が読みやすい向きに直し、名刺入れの上に乗せて両手で差し出す」、「相手の差し出した名刺より低い位置で差し出す」といった日本のビジネス習慣を外国人は知りません。 […]