「外国人社員が通える無償(ボランティア)の日本語教室はないだろうか…?」と一度は考えたことのある人事担当者もいらっしゃることでしょう。確かに、日本国内には数多くのボランティアによって運営されている日本語教室が存在します。
ボランティアの日本語教室には、どのようなメリット・デメリットが存在するのでしょうか。記事では、社内に外国人スタッフを抱える人事担当者・マネージャーに向けてボランティアの日本語教室の概要をお伝えします。
ボランティアの日本語教室の現状
日本国内には、ボランティアが運営する日本語教室が多数あります。多くは各地域の国際交流協会や公民館等で開催され、授業料が無料または教材費のみ負担という低額で日本語を学習することができます。
文化庁の情報によると、日本には約800施設・団体の日本語教室があり約19,470人の教師が活動しており、その約8割以上がボランティア講師です。授業の内容はボランティアグループによってさまざまで、フォーマルな内容のカリキュラムを使用した教室や自由に会話することを重視した教室など、個々によって異なります。
教材も、決まった教材があるところもあれば持ち込みが可能なところもあったり、教材が特にないところもあるようです。開催頻度も定期開催から不定期開催まで、さまざまな形式のボランティアグループがあります。
ボランティアが運営する日本語教室に通うメリット
ボランティアが運営する日本語教室のメリットは、主に以下のような点です。
- 費用を抑えられる
- 地域交流できる
費用が抑えられる点は、学習者にとってとても嬉しい点です。一般的に語学教育は高額の費用がかかる場合が多いですが、ボランティアが運営する日本語教室では、無料もしくは低額の費用で日本を学習できます。
また、ボランティアが運営する日本語教室を通じて自分が住む地域の日本人と交流し、地域での生活をサポートしてもらえるという点は外国人にとって大きなメリットです。
外国人が日本に居住しても、地域の人と接点を持つことは難しく、地域のルールを教えてくれたりサポートしてくれるような人と出会える機会はそうありません。
しかしボランティアが運営する日本語教室に通うことで、地域の献身的なボランティアと触れ合うことができ、生活する上で困ったことがある場合などに相談できます。
このように、ボランティアが運営する日本語教室は、単に日本語を教える場としてだけでなく、外国人の地域生活を支える存在でもあるのです。
ボランティアが運営する日本語教室の課題(デメリット)
一方、ボランティアが運営する日本語教室には、いくつかのデメリットも存在します。デメリットは以下の点です。
- 教える人がプロではない
- 講師の高齢化
ボランティアが運営する日本語教室の一番の課題(デメリット)は、講師の品質に関する問題です。ボランティアが運営する日本語教室の講師は、多くが主婦や他に仕事を抱えた人たちで、ほとんどがプロの日本語講師ではありません。
日本人の子供に母国語としての日本語を教えるのと、外国人に第二言語として日本語を教えるのとでは、教え方がまったく異なります。
そのため「プロの日本語講師」といわれる人は、外国人に日本語を教えるために特別な養成研修を受けたり、「日本語教育能力検定試験」などの資格試験を受験します。しかし日本語教室のボランティアのほとんどがそのような研修や検定を受けていません。
なかには日本語教育の経験があるボランティアもいますが、ほとんどがプロではないので、対応する人によって教えるクオリティに差がある点を考慮して受講する必要があります。
また、講師の高齢化も課題です。小規模の日本語教室の多くは、一部の熱心なボランティアにより運営されていますが、若い人のボランティアの数は少なく高齢化が進んでいます。
高齢化が進み続けると、活動の継続自体が難しくなるため、ボランティアの育成や教室運営を支える仕組み作りの必要性が唱えられていますが、簡単には問題が解決していないのが現状です。
東京都のボランティアが運営する日本語教室
ここまで、ボランティアが運営する日本語教室の現状やメリット・デメリットについてお伝えしましたが、詳細は個々のボランティアグループによって異なります。
具体的な教室の詳細を把握することで、ボランティアが運営する日本語教室についてより理解できると思うので、ここでは東京都のボランティアが運営する日本語教室を抜粋してご紹介します。
あけぼの会 曙橋日本語教室
あけぼの会日本語教室は、東京都新宿区にある日本語教室です。あけぼの会は曙橋と角筈(つのはず)の2箇所で日本学習会を定期開催しています。
概要は以下の通りです。
- 地域:新宿区
- 開催場所:男女共同参画推進センター
- 最寄駅:新宿線曙橋駅から徒歩2分
- 活動時間帯:毎週火曜日午前10:00〜12:00
- 対象者:入門者〜上級者
- 会費:2,000円/月
- 見学:可能
- 入会:随時
- HP:https://nihongo-akebonokai.jimdo.com/
あけぼの会 角筈教室は、新宿区にある角筈区民センターで毎週金曜日に開催されています。
さくら日本語サークル
さくら日本語サークルは、東京都新宿区にある日本語教室です。オンラインで受講することもできます。日本語で会話したい人、日本のことをもっと知りたい人を対象にした大人向けの日本語授業です。
概要は以下の通りです。
- 地域:新宿区
- 開催場所:しんじゅく多文化共生プラザ/オンライン
- 最寄駅活動時間帯:西武新宿線西武新宿駅から徒歩5分
- 対象者:日本語を学習していて、簡単な日本語が話せる人、書ける人
- 会費:なし
- 見学:可能
- 入会:随時
- HP:https://sakurajc.wixsite.com/home/home
早稲田奉仕園日本語ボランティアの会
早稲田奉仕園日本語ボランティアの会は、東京都新宿区にある日本語教室です。公益財団法人「早稲田奉仕園」が運営しています。
早稲田奉仕園では日本語講師の養成講座を開講していて、「日本語ボランティアの会」は、講座修了生の実践の場としてはじまりました。1998年発足当初は、早稲田大学の留学生や研究生が主な参加者でしたが、現在は語学学校の生徒やワーキングホリデーで来日している方などが加わり、活気のある会になっています。
概要は以下の通りです。
- 地域:新宿区
- 開催場所:早稲田奉仕園 スコットホール2F
- 最寄駅:東西線早稲田駅から徒歩5分/副都心線西早稲田駅から徒歩8分
- 活動時間帯:毎週水曜日10:00〜12:00,13:30〜15:30,16:00〜17:30
- 毎週金曜部13:30〜15:00
- 対象者:学習者本人に日本語学習の意思がある小学校5年生以上の人
- 会費:100円/回
- 見学:要問い合わせ
- 入会:2022年は9月から
- HP:https://www.hoshien.or.jp/program/katsudouya/japanese-volunteer-circle.html
TIC日本語教室
TIC日本語教室は、西東京市にある日本語教室です。働いている人でも受講しやすい夜間に開催されている教室です。
概要は以下の通りです。
- 地域:西東京市
- 開催場所:田無公民館
- 最寄駅:西武新宿線田無駅から徒歩3分
- 活動時間帯:毎週月曜日19:00~20:30
- 対象者:規定なし
- 会費:200円/月
- 見学:要問い合わせ
- 入会:随時
- HP:https://blog.canpan.info/ticevng/
日本語教室「なかよし」
日本語教室「なかよし」は、東京都足立区にある日本語教室です。日本語が話せない、書けない、読めない初心者から、日本語能力検定試験に挑戦したい人まで、幅広くサポートしてもらえます。
概要は以下の通りです。
- 地域:足立区
- 開催場所:足立区ギャラクシティー
- 最寄駅:東武スカイツリー線西新井駅から徒歩3分
- 活動時間帯:毎週水曜日14:00〜16:00
- 対象者:入門〜上級者
- 会費:なし
- 見学:要相談
- 入会:随時
- HP:https://nihongonakayoshi.wordpress.com/
以上、ボランティア団体を抜粋してお伝えしましたが、他にもボランティアが運営する日本語教室はたくさんあります。さらに詳しく知りたい人は、東京日本語ボランティア・ネットワークで詳しく検索できるので、ぜひご活用ください。
外国人スタッフの確実な英語力向上を目指すならプロの日本語研修を
記事では、ボランティアが運営する日本語教室について、現状やメリット・デメリット、いくつかのボランティアグループについてお伝えしました。
社内の外国人スタッフに無償で通えるボランティアの日本語教室を紹介することも一案ではありますが、ビジネスで活かせる日本語を確実に身につけてもらうには、プロの指導が受けられる有償の日本語教室に研修を頼むのがベストです。
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