JLPTはどう変わる?2027年に向けた制度見直しの動き

JLPTはどう変わる?2027年に向けた制度見直しの動き

2026 7月 03

JLPTの重要性が高まり、受験者数も年々増加する中、日本政府は日本語能力試験(JLPT)の実施方法を見直す方針を固めつつあります。2027年度に向けて、政府はJLPTの実施回数を増やすことやオンライン受験の導入、日本語基礎テスト(JFT-Basic)への新たなレベル追加などを検討しています。こうした施策が実現すれば、試験はより頻繁に、より柔軟に、そして国内外を問わずより受けやすいものになるでしょう。

このまま読み進めていただくと、具体的にどのような変更が検討されているのか、JLPTを取り巻く現在の状況、そして日本への移住や滞在を考えている方にとってJLPTがなぜこれほど重要な資格になりつつあるのかがわかります。

2027年、JLPTに何が変わる?

政府は、外国人の日本語能力を確認するための試験制度そのものを見直す方針です。特に焦点が当てられているのはJLPTの受験機会の拡充で、具体的には「試験の実施回数を増やすこと」と「オンライン受験形式の導入」の2点が検討されています。

その狙いは明確です。外国人労働者や在留外国人が、次の試験日を数ヶ月(国によっては1年)待つことなく、安定して継続的に受験機会を得られるようにすることです。

まず第一段階として、関係省庁は2026年度中の中級レベル受験者数の推計を求められています。このデータは、規制改革推進会議が今月中にまとめる報告書に盛り込まれる予定です。

そのうえで、2027年度には以下のような具体的な施策が打ち出される見通しです。

  • JLPTの年間実施回数の増加
  • オンライン受験の導入
  • JFT-Basicへの新レベルの追加(証明できる日本語レベルの幅を広げる)

こうした提案は概ね好意的に受け止められている一方、オンライン受験については「不正行為(カンニング)」への懸念の声も上がっています。

JLPTが受験者数の急増に追いついていない理由

1. 年々増加する受験者数

number of jlpt applicants in both japan and overseas 2020 - 2025
Source: Japan Educational Exchanges and Services (JEES)

日本語能力試験(JLPT)を公式に運営する日本国際教育支援協会(JEES)によると、2025年の受験者数は世界全体で過去最多となる190万人を記録しました。2020年・2021年はコロナ禍の影響で一時的に落ち込んだものの、それ以降は毎年増加を続けています。特に2023年には、受験者数が前年比で59%という驚異的な伸びを見せました。

しかし、この急激な増加に試験の受け入れ体制が追いついていません。2026年7月試験の申し込みは開始からわずか数週間で定員に達し、締め切られました。国によってはJLPTが年1回しか実施されておらず、さらに平均合格率は約35%程度にとどまるため、不合格になった受験者は次の試験まで丸1年待たなければならないという厳しい状況もあります。

2. JLPTの実施頻度

2026年現在、日本国内でのJLPTは年2回、7月と12月にのみ実施されています。海外の一部の国では、年1回のみの実施にとどまっているケースもあります。

他の日本語試験と比較すると、この差は際立っています。たとえばBJT(ビジネス日本語能力テスト)はCBT(コンピューターベースの試験)方式のため、決まった実施時期がなく、受験者は都合の良いタイミングで随時予約・受験が可能です。同様に、英語力を測るTOEICも毎月実施されており、オンライン受験にも対応しています。

こうした基準と比べると、「実施回数が限られている」「対面受験のみ」「多くの地域で年1〜2回のみ」というJLPTの現行フォーマットは、多くの受験者の実際のニーズと乖離しつつあると言えるでしょう。

日本国内だけでなく海外の実施都市も含めてJLPTの試験日程を増やすことができれば、より多くの人にとって受験しやすい試験になるはずです。特に、日本国内でのJLPTが現在、在留資格を持つ中長期在留者に限定されている状況を踏まえると、この点はなおさら重要です。

JLPT資格の需要が高まっている背景

JLPTは以前から、大学や企業、そして日本政府においても広く認められてきた代表的な資格です。しかし現在進行中、あるいは今後予定されているいくつかの制度変更により、JLPT資格へのニーズはさらに高まると見られています。

1. 日本語学校の「150時間ルール」を満たすJLPT N5

海外から日本語学校に入学を希望する留学生は、一般的に「150時間以上の日本語学習歴」を証明することが求められます。この条件を満たす証明として、多くの場合最も広く認められているのがJLPT N5です。

ただし、学生には厳しい出願スケジュールも待っています。入学時期は基本的に4月と10月で、学校によっては1月・7月入学にも対応しています。そのため、JLPT N5の受験タイミングは、入学スケジュールを見据えて戦略的に計画する必要があります。

2. 技能実習生に求められるJLPT N5〜N3

2024年、日本は技能実習制度(TITP)を抜本的に見直す法改正を行い、これに代わる新制度「育成就労制度」を創設しました。この新制度は2027年4月1日に施行される予定です。

新制度のもとでは、外国人労働者は就労を開始する前に、基礎的な日本語能力(JLPT N5、またはそれに相当する講習の受講)を証明する必要があります。そこから先には明確なキャリアパスが用意されています。まず「特定技能1号」(一定水準の技能を持つ人材向けの在留資格で、在留期間の上限は5年、原則として家族の帯同は不可)へ、そして最終的には「特定技能2号」(より熟練した技能を持つ人材向けで、在留期間の更新に上限がなく、配偶者や子どもの帯同も可能)へと移行していく仕組みです。特定技能2号を取得すれば、将来的に永住権を申請できる可能性も開けます。

これはJLPTにとって何を意味するのでしょうか。旧制度の技能実習では、日本語試験を一度も受けずに働くことも可能でした。しかし新制度ではその「抜け穴」がなくなります。JLPT N5は就労開始の基礎条件となり、さらにJLPT N3は特定技能2号へのキャリアアップにおいて重要な基準になりつつあります。

3. 代表的な就労ビザに求められるJLPT N2

2026年4月15日より、外国人材が取得する代表的な就労ビザのひとつである「技術・人文知識・国際業務」(技人国)ビザにおいて、一定の条件下で日本語能力の証明書類の提出が新たに求められるようになりました。

この要件が適用されるのは、雇用する企業が「カテゴリー3」または「カテゴリー4」に該当する場合です。これは主に中小企業や新設企業を対象とした、入管による企業規模の区分です。カテゴリー3は多くの中小企業が該当する区分で、カテゴリー4は源泉徴収の実績がない企業、つまり設立から1年未満の企業や、外国人材の雇用が初めての企業などが該当します。

さらに、申請者の業務内容が通訳・翻訳、受付、接客業務など、言語能力を直接活用する対人業務にあたる場合には、JLPT N2、またはCEFR B2相当の日本語能力証明の提出が必要です。

この変化が学習者と雇用主にとって重要な理由

JLPTの実施回数の増加、レベルの拡充、そしてアクセスのしやすさの向上は、いずれも急速に数を増やしている次の2つの層に直接的な影響を与えます。

日本で働く外国人・留学生の皆さん。 受験機会が増えることで、年1回の試験日程だけを頼りにキャリアや進学計画を立てるプレッシャーが軽減されます。また、一度のチャンスを逃したことで1年単位の遅れにつながるリスクも小さくなります。

海外の日系企業で働く従業員の皆さん。 日本人の同僚や取引先と関わる多国籍チームにとって、JLPT資格取得のハードルが下がることで、語学力の向上を「一度きりの関門」としてではなく、継続的なキャリア開発の一環として無理なく組み込みやすくなります。

まとめ

2025年の受験者数は、20年前の2001年と比べて約7倍に達しています。加えて、在留・就労関連の新制度が中級レベルの日本語資格の重要性をさらに高めようとしている今、試験制度そのものを現代化する圧力——実施回数の増加、オンライン化、対応レベルの拡充——は今後さらに強まっていくと考えられます。

現時点ではまだ検討段階であり、具体的な提案は2027年度に示される見通しです。とはいえ、進学・就職・ビザ申請など、JLPTの受験スケジュールを見据えて動いている方にとっては、今後の動向を注視しておく価値のあるテーマと言えるでしょう。

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進学、就労、そして日本での長期的な生活設計において、JLPT資格の重要性はますます高まっています。N5、N3、N2——どのレベルを目指す場合でも、正しい対策と実力の積み上げが欠かせません。

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FAQ

JLPTは2026年、あるいは2027年に変わりますか?

まだ変わっていません。日本政府は現在、試験の実施方法を見直しており、具体的な提案は2027年度に示される見通しです。検討されているのは、実施回数の増加、オンライン受験の導入、JFT-Basicへの新レベル追加などです。

なぜ2026年7月試験の申し込みはあれほど早く締め切られたのですか?

受験者数は2001年の27万人から、2025年には過去最多の190万人へと急増しました。この需要の高まりに実施回数の少なさが重なり、申し込み開始からわずか数週間で定員に達しました。

日本国内のJLPTは誰でも受験できますか?在留者限定ですか?

2026年現在、日本国内で実施されるJLPTは、主に中長期在留者および特別永住者を対象としています。有効な在留カードを持たない短期滞在者は受験対象外です。

日本語学校の学生ビザにはどのレベルのJLPTが必要ですか?

多くの日本語学校では150時間以上の日本語学習歴の証明が求められ、JLPT N5が最も一般的に認められる証明書です。学校の入学時期(多くは4月・10月、学校によっては1月・7月も)に合わせて受験計画を立てましょう。